「山奥ビジネスに、事業計画は通用するか?」田舎で起業する時は、最高パターン、最悪パターンを考えよう

計画はするけど、計画にしばられない。
「地域」という不確実性が高い場所でお店をする時のコツ。

人口も少なく店を経営するには不利な条件が多い地域での起業。
事業構想や計画はしっかり立てるけれど、それに縛られず。
現場で感じた生の感覚をもとに良い変化をくりかえす。
気楽でありつつ、覚悟もある。
うまく転べるようにリスクは小さく抑えておく。
これがポイントになると思います。

小商いのススメ


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自然派菓子工房ぽっちり堂ネットショップのお菓子ギフトはこんな感じです。

私達が田舎で仕事を作るために起業したぽっちり堂。先日も田舎スタディツアーの参加者さんが関東から来られていて、プチ講座をしました。個人事業主の方がメインだったため「地方に移住して、個人事業主としてやっていきたい」という方もいらっしゃいました。

「こんな山奥で個人事業をするにあたって、事業計画はたったんですか?」
「リスクはどう考えて始めたんですか?」
「これから始めるなら、最初はどんな風にスタートする方がいいと思いますか?」
などなどご質問を頂きました。



そもそも田舎は「よめない場所」。
これで間違いない!という事業計画を立てることは難しい。

私たちは、移住してお菓子屋をすると決めたとき、まずはこの三つから試運転し始めました。
・はじめにお菓子ギフトのネット通販店を作り
・卸売
・市やイベントに出店


それらを通しファンが付き、ネットショップが起動に乗りはじめたころ、次の段階として、もう少ししっかりとした設備の工房を作ることに。そこには山カフェも併設することになりました。

それなりに資金も入れる段階になったため「さすがにしっかりとした事業計画をたてないと・・・」と思いました。ちょうどタイミング良く慶応義塾大学大学院の地域起業家養成研修を受けることができ、経営の基礎を学びました。

「さあ、学んだことに基付いて事業計画をたてるぞ!」と気合を入れてはじめました。

だけど、いくら分析をしてセグメンテーションして、計画をたてたとしても・・・
結局田舎でこんな商売をする=予測できないこと、よめないことが多すぎるという結論にいたってしまうのです(笑)

分析や数字、一般的な経営のロジックから考えてみると、人口ですら明らかに足りず「ないものだらけ」の山奥ビジネス。やってみないとわからない部分が多すぎて、ふつうの人なら「こんなところで事業をするのはやめとけ」という答えしか出てこないんだろうなあと思いました。


起業するときは最高パターンと最悪パターンを考えた

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それでも、私達夫婦は
「やっぱりこの山奥だからこそやりたい!」と思ったんです。
山カフェをするにあたってもっと便利なところにある物件も見にいきました。
だけれど、結局自分達が暮らしている山が一番しっくり来るんです。

そして、「ここだからやる意味がある」と思ってしまったんですね。地域×仕事の新しい形を作りたいと思いました。(すみません、たぶん逆境フェチです・・・(。・ω・))

周りには応援してくれる人もいる一方で「信じられない」「こんなところで・・・ねえ」と笑われることもありました。当然だと思います。

基本的に競争原理では負けると思ったので「ハチがおいしくて美しい花に寄ってくるように、山奥でも魅力的で光る店を作ろう。遠くからでも人がやってくるような素晴らしい場をつくろう」と思いました。



転んだとしても上手く転ぼう。大けがしたり死んだりしない程度に

その際、ポイントとしては事業の業績が最高だった場合と、最悪だった場合2つのパターンを考えました。一つは、「順調だったらこういう数字になり、こんな風にまわっていく」パターン。
もう一つは「悪ければ最悪これだけの負債をかかえて、この期間しかできない。その場合はどうするか?」パターン。

最悪パターンの時のフォロー(たとえば借金がいくら残って、そのお金はどう返していくか?返せる程度の借入金にし、もしもの時には働きに出ることも想定するなど)を夫婦で話し合って決めました。

私には、事業が失敗し自殺してしまった友人がいます。本当にショックで悲しく、残された家族や友人がどれだけ辛いか痛切に感じました。そのため「仕事にエネルギーはかけても命はかけない」と決めています。だから何かあったとしても「人生何度でもやり直せる!」とリセットできる体制を大事にしました。

また、事業の失敗が原因で夫婦仲まで壊れてしまったら、何のために仕事をしていたのかわからなくなります。「悪いパターンを考えるなんて縁起が悪い」と思われるかもしれませんが、良い面と悪い面をはっきり見て、覚悟した上で大きなことを始める。それはどんな場面でも大事なことだと思います。


山奥ビジネスのポイントまとめ

こんな風に最高と最悪の両面から事業計画をたてたことで、夫も私も開業後「まあ、最悪の時でもなんとかなるか」と思えました。
思ったようにことが進まないときでも「どうしよう、どうしよう」という思考ループに陥りすぎることなく、現場でトライアンドエラーを繰り返すことができたと思います。

結果的には、山奥まで一時間以上かけてでもお客さんが来て下さったり、ネット販売も成長していったため、想定以上の集客や売上が上がるようになりました。だけどそれは本当に「やってみないと分かりようもないこと」でした。

山奥ビジネスのポイントをまとめると、

1、事業構想や計画はしっかり立てるけれど、それに縛られない。
2、現場で感じた生の感覚をもとに試行錯誤、変化をくりかえす。
3、うまく転べるようにリスクは小さく抑えておく。
4、最高パターンと最悪パターンは考えておく。

地方で自分らしい小さなお店を起業する時には、これらを踏まえて始められると良いかもしれませんね。

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自然派菓子工房ぽっちり堂ネットショップ
■私、ヒビノケイコの著書。高知の山奥で暮らしながら新しい時代のあり方を創造中。

山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]