地域創生「発展する地域とそうでない地域の違いは?」新しい種をつぶす人、見守る人「過去の栄光に囚われず、挑戦するフィールドを地域に作れるか」

■ これから発展していく地域と、そうでない地域の違いはどこにある?

私は京都から高知県嶺北地域へ移住してもうすぐ9年。最近は全国の色々な地域の方ともつながりが増え、お話を伺うことも増えました。そんな中で「地域が発展していく気運のある場所とそうでない場所の違い」その背景には何があるのか?がうっすら見えてきましたので、ご紹介します。

■内輪もめに終始&新しいものはつぶす地域

これは、色んな地域の協力隊、IUターンさんから聞くお話。
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地域おこし協力隊で行って活躍されたり、IUターンで地域に入って良かった!という事もある一方で、こういうパターンもあるようです。地域としては存続の危機状態なんだけど、有力者たちの内輪もめがすごくてそれに終始している。新たに入ってきた移住者や若者が動き出せば「あいつは~派」なんて勝手に派閥としてみられ(全くそんなつもりないのに)新しいことにしばしば口出しし、つぶす。

■過去の栄光へのとらわれとねじれ

これ色んな場所で聞いていて「過去、繁栄したことがある地域」に多い印象です。「昔は良かった」「昔はこれをすれば暮らせた」過去の栄光がありすぎて、それにとらわれてしまう。今全く違う状況にあるんだけど、どうも気がつけない。気がついていても、プライドが邪魔して「ほっといてくれ」と言ってしまう。いつしか自分=町というアイデンティティの同一化してしまい、意固地になって「滅びるなら滅びたっていい」と言う。

だけど、実は町民全員がそう思っているわけではなく、新たなやり方を創造したい若手がいたり、その人には見えていない町の良さや伸び率だって存在する。そんな風に、同一化しねじれてしまった感情が町のベースになると、やがて若者や新たな風を受け入れられないフィールドになってしまうことがあります。
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見守り力のある人が支える「挑戦できる地域」

反対に、盛り上がりを見せる地域で若い人に話しをきくと、
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やはり、背景にはこんな町の重鎮の見守りがあることが多いです。
特徴としては、
・若い人、新たな人がやることに最初から口を出さない(危ない時には登場)
・見守る
・何かあったらそのときは自分たちもリスクをとる器がある
・挑戦した結果は、どこか手放している
・次の世代につなげて渡していく気持ちがある

「だから、まずはやってみなさい」と言ってくれるんですね。本当に感謝ですよ。地域で暮らしている人の意見はいつだって様々で、何をしたって賛成の人もいれば批判的な人もいる。そんな中で、みんなの意見を聞きすぎると、何も行動できないし、必要なことはできなくなります。

だけど、やっぱり地域で活動していくにはある程度の理解や支えも必要。だからこそ、こういった見守り力のある方々の支えが大きな助けになってくれます。つまり、地域が「挑戦できるフィールド」になるかどうかは、「見守り力」のある人がいるかどうかによるんですね。
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また、面白いのは今、危機感を持って対応している先進地域には、過去、派手な栄光を手にしたことがない地域も多い。だからこそ、的確な危機感を持て、客観的に対応していける。もともと大きな成功も手にしていないからこそ、そこにとらわれずに挑戦していけるのかもしれませんね。
こう考えると、時代の波に乗っていくには過去や成功にとらわれない力が重要だということです。
(参考記事→

■うまくいかない地域は、アクセルとブレーキが同時に踏まれている

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地域を車にたとえると、「アクセルばっかりじゃ大やけどするかもしれないし、ブレーキばっかりじゃ、ただただストップするしかない」だから、まずはアクセルふんで新しい流れを創造していきながら、大やけどしそうな時には「今こういう状況だけど、大丈夫?」って声(ブレーキ)をかける。そうやって、それぞれができることをできる範囲でやりながら、地域を伸ばしていきたいなあって思います。

■アクセル&ブレーキのうまいころあい。

地域で頑張っていて、新たな動きとも協働する地元住民Bさんは「ワンテンポ遅らせて、ストップをかければいいんですよ。その人が新しいことに挑戦してみて、うまくいくことだってある。失敗したって本人の勉強にはなるし、大やけどしそうな時に声をかければいい」と仰っていました。

確かに、近年盛り上がってきている私の暮らす嶺北地域を見ていても、色んな人達が色んな行動を起こし、活動も多様になっているんですよね。でもそれって、最初に「こんな活動しようと思ってる」と聞いたときには、うまくいくかどうかは分からないし、時には「???」って理解できないときもあります。
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だけど、その人が実際にやってみた後、目でみて肌で感じたら、「すごい!こんなアプローチがあったんだ!」とそこで理解できることもあるし、「ああ、この人はこんなことを考えていたんだ」って感動することもあります。何年かやってみてはじめて分かるものがある。そうしているうちに、嶺北の活動は町の住民や移住者、それぞれから内発的に起こっていい感じに発展してきている。

こういった経験からも「明らかに人に迷惑をかける、家庭が崩壊する、命の危険がある、というレベルで大やけどする」んだったら、ちょっとストップかけてもいいけれど、それ以外は見守る。という姿勢は大事だなあって感じるようになりました。(参考記事→

■「心の内面が地域の外面に出る」
変化を受け入れ次の世代にサッと引き継げる人のかっこよさ

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地域のおじいさん、おばあさんを見ていても、若い者に引き継ぐ時代が来た時、徳のある人は「~会長」とか「~役」「~社長」という立場をサッと若い者に引継ぎ、社会的なペルソナをぱっと脱げる。
そのタイミングとか脱ぎっぷりが的確ですごいなって思います。

そして、その立場をなくしても、やっぱり尊敬される人はされる。
それは外面に向かったプライドではなく、内面的な徳や幅、誇りが素敵だからです。

自然と同じで、人の心や町のベースに、光がさし、風がふいて、水が流れ、土が健康であるか?これが大事なんだと思います。(参考記事

■「コミューンじゃなくて再構築」が日本の田舎には合ってる。
土足で上がらず、感謝と敬意を払いながら新たなものをプラスする

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私、「フリーダム!」「自分達の理想郷をここに作るんだ~!」みたいな、全く違うものをいきなりその土地にどかーん!と作っちゃう海外のコミューン的なものは日本の田舎に合わないと思うんです。自然の中で生きてきた今までの先人が培ってきた知恵や、土壌も大切にしながら、その上で再構築していく「内発的なものも加わったコミュニティ」。

若者や、新しく入る人達も「土足で上がる」ようなことはせず、「今までの人達に感謝し敬意を払う」ことはものすごく大切なことです。それがあると、伝わり「やってみいや」となりやすい。その上で、もう今の若者の足かせになるような古い仕組みはリメイクし、プラスαでこれからの時代に必要なものを乗っけていく。(参考記事→

そんなイメージの再構築なんですよね。それには一瞬痛みもともなうかもしれない、だけど人間だって自然だって、社会だって、変化しなければ停滞するしかない。
だからこそ、地域の変化を楽しんでいける地盤を一緒に作っていけたらいいなって思います。

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