空き家問題については、今までも沢山記事を書いてきました。(代表記事→空き家を貸したくないパターン4。放置空家税制優遇廃止、本気でどうする?)
空き家問題に関する記事で面白いものがあったのでご紹介。愛媛伊予市の「まちつくり学校双海人」用夢員である本多正彦さんの文章から。こちらの団体では、過疎化・少子化が進む伊予市双海地域で「学校を救え」を合言葉に住民主導の移住交流事業を行ってらっしゃいます。(以下、まちつくりネットワーキングえひめ「舞たうんvol124」より出典)
「空いてるのに貸してくれない」
地域に空き家はいくらでもあります。でも「使わせてもらえる空き家」はほとんどありません。その理由はたくさん。荷物がある、仏壇が、墓参りの休憩所、傷みがひどい、いつか帰ってくるかも・・・、でも結局のところ「知らない人にかすことへの抵抗感」なんだと思います。当然だと思います、そんなこと過去にはほとんどなかったんですから。
これを促していくにはある程度信頼のおける人や団体が間に入ること、そして何と言っても特効薬は事例だと思います。実際に移住者が入り、その地区に子どもが増えたとか活気が出たとかいうメリットが地域の人を通して伝わってくことです。
逆に初期に悪い事例が出てしまうと一気に機運も消沈してしまう可能性が高いので、立ち上げ段階の今は気を使う部分が多くなってます。
そうだよな~と思って読みました。この雑誌、高知県嶺北で移住支援を行ううちの夫(NPOれいほく田舎暮らしネットワーク)や農音の田中さんも寄稿されていたんですが、実感のある面白い文章がいっぱいでした。ほんとに本多さんが仰ること、よくわかるなあと思ったんです。(参考記事地域再生大賞。愛媛「農音」が記念賞受賞!条件だけじゃなく、魅力的な人の周りに移住者は集まる)
■地域のアレルギー反応をおこさないために
本当はね、人には住む場所の自由はあると思います。田舎の人が都会に出て行って自由に住んでるみたいに、都会の人が田舎に来て自由に住む権利だってあるはず。だけど、正論で言ってもダメなんですよ~。
田舎の歴史文化として新しい人が引っ越してくる、空き家を貸すということが今までなかった。だから、新しい人に慣れてない、「最初に入ってくる移住者がどんな人か?」で地域に住む人の移住者イメージがつくというのは事実です。本当は、移住者だって十人十色で全く違うから、特別視されるのも困るんだけどね。(参考記事地域創生・移住「与えてもらって当然」に慣れちゃだめ。誰も上手くいく答えは持ってない「自分で作る意識」に立ち戻ろう)
■良いインプットを増やして信頼を築く
だから、確かに初期には良い人、良い事例をいっぱい作ることは大事だと思う。まず、地域の人に「受け入れてよかった」と思うインプットを増やさないと。良い人が増えた、地域がなんとなく元気になっている、保育園の子供の同級生が増えた、あの空き家の光がまたともった。そういう実感を増やしていく。(関連記事空き家を借りる交渉のコツまとめ。条件よりも温かい人柄で)
概念に勝てるのは実感ですから。それによって、その後の流れ、地域に受け入れられる幅、印象が変わっていきます。最初は「あの人たち、何なんだろう・・・?」って思ってたけど「うちも貸してよかったから、あんたのところもやってみいや」「うちも協力しちゃろ」と言えるおばあちゃんが増えるかどうか。
信頼関係を紡ぐ土台としては、町の集まりには最低限参加するとか、ご近所付き合いするとか、保存食が好きなら教えてもらうとか、そういうのも大事です。
■小さな疑問をアレルギーに発展させない
地域に都会から来た異文化の人が住めば、当然大なり小なり誤解やトラブルも起きます。だけどその時大切なのは、誠実な人柄を持って異文化に対応していけるか?愛し方は違えども「この地域が好き」で暮らしている、という共通の土台があるんだって認識してもらえるかどうか。
地域の人が移住者に対して「?」と思うことがあった時点で解決できたらいいんですけど、「????」が多くなりすぎると、一気にたまってしまった疑問→不信感とか誤解になってアレルギーのように発症する。そして、有無を言わせず「もう出て行ってくれ」となる感じです。で、こんな風に・
・・・
お互いに極端になっちゃったら、残念ですよね。自分も残念だけど、その後の人の道も閉ざしてしまう部分ができちゃうから、より一層残念なんです。
■今、自分がやることが次の人の道も作ってる
自分が見知らぬ地域に移り住める、ということは「先輩が道を開いてきてくれた」からということでもあります。同じように「自分が今することが、次来る人の道も作ってる」何もかも優等生になってやらなければ、と思うと疲れちゃうと思いますが「できることをできる範囲でする」のは大事だと思います。信頼+個性で「まあ、あいつなら」と言ってもらえるキャラになれたら素敵ですよね。
■「焦らず、少しずつ」が大事
基本的には地域の事は「焦らず、少しずつ」がいい。地域でいると、色んな面で都会とは進むペースが違うので焦ることも多いと思うんです。だけどいきなり色々しようとすると、地域の人の気持ちが全くついてこなかったり、アレルギーになっちゃうこともある。じりじりすることはあっても、やっぱり焦らず少しずつ。でも、信頼関係ができて波が来た!ってときにはパッと波に乗る。暮らしてみて、分かってきたらそんなタイミングを掴むことも大事だと思います。
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山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]
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