■海街diaryストーリー
今上映中の映画「海街diary」を観てきた。是枝監督の作品は「誰も知らない」「そして父になる」など、基本的に好き。今回のは、その2作に比べると劇的な場面が少なく、「いいのかな?」と思うくらいじわじわ系だった。
SWITCH Vol.33 No.6 是枝裕和の20年 ”海街”へー ある家族の物語 [雑
誌]
鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。こうして鎌倉での生活がスタートするが……。
(出典http://qq4q.biz/m1st)
■どんな複雑な事情があっても、相手の存在を愛おしみ、一緒に生きてく。
お互いの弱さ、せつなさもふくめて存在自体を愛おしむ。
どんな複雑な事情があっても、愛して可愛がり、一緒に生きてく。
映画の情景が良かった。おばあちゃんの浴衣を着るシーンや、庭の梅酒を漬け込むシーン、母親に唯一教えてもらったシーフードカレーを炊くシーン。これから夏に向けて、日常の中で自分がしそうなことばかりだった。
■祖母の残した夏着物
浴衣のシーンを見ているうちに、先日亡くなった祖母にもらった夏物の「絽の着物」を思い出した。
「あんたくらいしか、この絽は着ないやろうからあげるわ」と、高校生のころ茶道を習っていたわたしにくれたのだ。「大事にしいや」と、にこにこ愛おしそうに着物の生地をなでていたおばあちゃんの手のしわを覚えてる。
絽の着物は夏着物。浴衣の場合は一枚ではらっとカジュアルに着れるが、それとは違って中に長襦袢(着物の下着)をつけなければいけない。帯もちゃんとしたのをまかなければならない。汗をかく時期なのにわざわざ着るとなると、あとで手入れにも手間がかかる。
はっきり言ってめんどくさいものだ。
今の時代にこういうものをわざわざ着るといえば、着物を日常的に着ている人か、着物好き、茶道をしている人などに限られるんじゃないかなあ。
だけど、やっぱり質感は薄くてふわっと軽く、淡く透けた生地は涼しそうで風情がある。夏を全体で現していて、わたしは好きだ。
■いびつだけど、いつまでも女性として可愛らしいひと
祖母が若い頃、子どもが多くて貧乏だった。いつもはかなり慎ましく暮らしているけれど「使うときには使う」豪快な性格。若い頃は着道楽で、よく呉服屋さんを呼んでいたらしい。
そんな姿を見て、母は子供ながらに「ええんかな?大丈夫かな?とドキドキしてた」
一方で祖母はにこにこしながらおしゃれな着物を誂えていたという。
こんな話もある。
映画や芝居が町にやってくると、家事をおいてでも走っていき、誰よりも嬉しそうな顔をして一番前で拍手しながら観る。終わった直後「は!はやくせんと夫が帰って来る!怒られる!」とまた走って家へ帰り、案の定怒られて子供がはらはらする・・・という展開だったらしい。
根をつめるところには必死でガッとつめるくせに、ぬけてるところはぬけてた祖母。主婦としては微妙だったかもしれないが、子どもや孫はとにかく可愛がって育てる名人で、みんな逆にしっかりものに育っている。
歳をとっても、常に女性としての可愛らしさがあって
、近くにいると光がさしてくるような家族のカリスマ的存在だった。ほんとお茶目でファンキーな人だったんだなあって思う。
海街daiaryを観て「もう茶道も忙しくてやめたし、めんどくさいし、今年は絽の着物を出して着るのはやめようかな」と思ってた気持ちがちょっと変わった。
梅雨が終わったら、たんすから出して空気を通し、やっぱり一度は着てみよう。
■原作はベストセラーを誇る吉田秋生さんのコミック。
(関連記事→「どうせ生きていくんやから、苦しくやるより楽しくやるほうが得やで」おばあちゃんとの別れと、温かい食卓。瞬間を愛する生き様)
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■著作エッセイ漫画
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