「みんなで幻想」を出て自分のブルーオーシャンを作ることから始めよう「地域ですれ違う若者と高齢者」

■同じ場所ですれ違う、30代と80代
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能登から帰ってきた。能登では、ふたつの講座をし、高齢者の方から若い世代の方までお話をした。それぞれの悩みも聞かせていただくことがあった。
ある80代の方は、田舎では相互扶助や人とのふれあいがないと生きていけないのに、若者があまり参加してくれない。ここで暮らせるのは自分たちが守ってきたからこそだし、こんなに努力しているのになんでわかってくれないんだろう?若い者に活動してほしいのに・・・。そんなヤキモキした気持ちを話してくれた。
ある30代の若者は、ここで何かしようとしても、上の世代が閉鎖的で新しいものははじかれる。この地域は中途半端な都市で観光資源もあって今までなんとかやってこれただけに、ほんとうは危機感をもっともたないといけない状況でも、上の世代はまだ大丈夫と思っている。彼らが舵を握っている中で、新しく入ってきた人や若い世代がうまく動けなくて困っている。どうしたらもっと、うまく動けるんでしょう?そんな悩みを話してくれた。
両方のお話をうかがっていて、せつないなあと思った。おじいさんはおじいさんで、その思いはリアルであり、思ったようにならなくてつらいだろう。若者は若者で、その葛藤はなんとか打開したいよね。お互いに幸せにやっていきたいという気持ちは同じで、同じ場所で生きているのに、すれ違っている。違っても尊敬し合えたらいいのにね。そう思った。

■尊敬と自由
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尊敬ってなんだろう?わたしは最近それを「自分と相手の自由を認める」ってことじゃないかなあと思う。これは、地域活動でも、仕事でも、夫婦関係でも。
同じ組織、同じ考え、同じやり方の中で、最初からみんなで一緒にやろうとするのはとても難しいこと。わたし自身、仕事でも夫婦関係でも、そうすればするほど、伸びやかなその人らしい動きができなくなり、結果に結びついていかないことがあった。
地域活動も、ここ9年高知の山奥で様々なものに参加したり近くで見ている中で、同じように感じる。「みんなで、みんなで」というものほど息苦しくなり、伸びない。
お互いの意思確認や信頼は大事にしながらも、相手は相手で自由に動き、自分もそうした時に、結局パフォーマンスが上がるという実体験を繰り返してきた。想定内でおさまらないので怖い部分はあるけれど、大きな目でみれば想定以上の結果が出ていたりする。
じぶんの考えややり方は、オープンにする。それによって、相手がその人とどう関わったらいいか分かる。でも、人に押し付けない。お互いの持ち場を持ち、その上で一緒にできることがあればする。できないなら無理にしなくてもいい。難しいし冷めてるようだけど、それが現実的なんじゃないかなあと感じる。

■同じ組織であえてやらない。フェーズが違う、自分たちの場所をみつけてやる

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地域活動では「昔からある組織の中で変に頑張らない」「あえてそこでやろうとしない」ことも大事だと思う。若者は若者で、新しい土俵を作り、そこで頑張って実績を出す方が早い。その上で対等な関係性を持って協力するのが一番スムーズだ。実際にいろんな活動を見てきて、そう思う。
高齢者の方が今まで作り上げてきた組織は、今までの実績、信用、力もある。
「これを続けていくことは、町にとってとても大事なことだからぜひ活動に入ってほしい。自由にやってくれていいから」と最初は言われる。
でも、実際に入って頑張ろうとすると、古い組織体系やしきたり、しがらみの中で身動きがとれない実態が待っていたりする。
今までの方達が想いを持って、一生懸命に取り組んで来られたことには感謝も尊敬もしている。だけどどこか「リスクをとりたくない。仕事増やしたくない。チャレンジしない。最終的な責任をとりたくないから、押しつけあう」そんな気持ちも垣間見えてしまう。これは本人たちも気がついてない無意識の働きなので難しい。しかも相手の領域内で、それをおかしてまで変えようとするのも、なんか違う気がする。だから、じぶんの領域を作る。

■ブルーオーシャンをみつけて、実績でつきぬける
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地域の若者は「地域の人が重要と思ってなくて、自由にやらせてくれるところ」を発掘するとスムーズ。地域活動となると「町の未来をなんとかしなければ!」といきなり大きいことを目指しやろうとしがちだけど、もっともっと具体的で小さいことからで十分。
一人でできること、もしくは数人の仲間でできることから。例えば、「教育」という問題に関わるとき、いきなり学校を攻めると大きすぎて厳しいので、課外活動から手をつけていく。今まで町になかった手作り市を立ち上げて、やってみる。地域に仕事を作りたいと思ったなら、じぶんが作ってみるとか。
そんな小さな実績から作ってゆく。そのうちに「あれ?なんであの人はこんなに集客ができるんだろう?」「あれ?なんかあのお店、びっくりするほど売れてるよ」「あれ?あの人の企画、こんな田舎でやっても無理と思ってたけど、実際はこんなに喜んで、ここに来てくれる人が増えるなんて」
こうやって、頭で考えたことよりも「実感としてのインパクト」が地域の人の体に刻まれていく。そして「この分野に関しては、あの人に聞こう」と耳を傾けてくれるようになってくる。いつの間にか有識者会議に呼ばれるようにもなったりする。
そうなった時、かつて同じ組織内では「そんなことやっても無理に決まってる」「若いもんはわかってないんだから、こっちのやり方に合わせて」と言っていた人の姿勢が変わる。
より対等な関係性で話せるようになる。「すごいね」「それぞれ頑張っていこう」「あなたはこれができる、わたしはこれができる。じゃあ、協力するとすればどこだろうね?」ということもある。そうなったときに初めて、建設的にことが運ぶスタート地点に立てる。

■まとめ
相手を尊敬することは、自分と相手の自由を認めること。
同じ場所で頑張らない。じぶんのブルーオーシャンをみつけて、そこで実績を作り突破していく。
お互いが自分らしくいられて、居心地の良い幸せな暮らしが地域で作れたら。やり方は違っても、それが胸の奥にある共通の目的であることを忘れずにいられたらいいな。

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■著作エッセイ漫画
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~
山カフェ日記~30代、移住8年。人生は自分でデザインする~ [コミック]


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