「自分に立ち戻れる美術館7選」もう一つの居場所で

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「美術館」はわたしにとって、「何か特別なものを見に行く」というよりも「もう一つの実家の部屋に帰る」ような場所。さまざまな人、さまざまな物事にふれる毎日の中で、自分の本来のフェーズに立ち戻れる。そんな場所。



1、実家に帰ったような、ほっとした気持ちになる美術館。

小さな頃から何度も足を運び、1日ぼけーっと過ごしていた美術館。それらは”当時の実業家が、文化・社会貢献のために作った”という共通点があることにも気がついた。

◾️和泉市久保惣記念美術館  実家近くの、もうひとつの居場所。 

大阪府和泉市で約100年綿業を営んできた久保惣(久保惣株式会社)から、美術品、建物、敷地、基金の寄附を受けて開館した和泉市立の美術館。

中学生時代、行き場がないような気持ちを抱えた時、ひとりで自転車に乗って向かうことがあったのは、実家近くの久保惣美術館。薄暗くてひやっとした美術館の、いつもと変わらないモネの色彩や、ピカソなのに地味目な絵、工芸を見ると、なんだか落ち着いた。

 
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出典http://www.ikm-art.jp

別に、企画展があってもなくても、そこはいつもの場所。会うと落ち着く馴染みのおじさん、おばさんにに会いにきたような気持ちで、絵画と会う。


庭を歩き、ピアノのコンサート会場をのぞいて、みどりが目に入ってくるのが心地よかった。すてきなソファのあるカフェは、その日見た展示を思い出したり、本を読んだり、ゆっくり過ごせる。あまり知られていないけれど、今でも実家に戻ると行く、渋い美術館。

◾️大山崎美術館 

  


実業家・加賀正太郎が昭和初期に自ら設計、デザインして建てた英国風の山荘を復元整備し、1996年に美術館として開館。コレクションの中心は、現アサヒビールの創業者である実業家・山本為三郎の収集したもの。民芸関係の陶器や、モネの睡蓮シリーズなど。

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出典http://www.asahibeer-oyamazaki.com

大山崎美術館は、建物へたどり着くまでの道が好き。レンガで組まれたトンネル、小道を歩いて行くと、とてもすてきな邸宅にたどりつく。アンティークなものたちが、しっくりと馴染んでいる空間、ステンドグラス、大きな時計。カフェ、ソファ。違う時間が流れている。コレクションももちろん素晴らしいのだけど、その空間につつまれていたいがために、訪れる場所。

◾️大原美術館

 
倉敷の実業家・大原孫三郎がパトロンとして援助していた洋画家児島虎次郎に託して収集した西洋・エジプト・中近東・中国美術を展示。1930年に開館し、西洋・近代美術を展示する美術館としては日本最初のもの。

当初は1人もお客さんがこない日もあったそう(!)今では、この美術館を中心として全国各地から観光客が訪れるように。自分のためだけでなく、すごい資産を街、国レベルで残されたもんだなあ・・・と、いつも感嘆。

いく日によって、モディリアーニに魅きつけられる日もあれば、ゴーギャンの絵の前でたたずんでしまう日も。その時々の自分が感じとるものって違うんだなあ、と気がつかされる。名画は、これでもか!というほど、すばらしいものばかり。わたしは民芸館が好きで、芹沢銈介さんの染物の前でうっとりしております。

お決まりですが、となりにある老舗喫茶店「エルグレコ」にも、寄るべし。
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2、画家のアトリエに、ふらりとおじゃました気持ちになる美術館

”作家の生き様”自体を感じ取れる美術館にいくと、何かが触発されて湧いてくる。

◾️丸亀猪熊弦一郎美術館 ここにいると勝手に癒される

  

丸亀猪熊弦一郎美術館は、わたしが四国にはじめて一人で旅した18歳のとき以来、ことあるごとに訪れている。心細くなるような鈍行の電車に乗って四国にやってきて、この美術館に出会ったとき、とてもほっとしたのを覚えてる。まるで知り合いの作家のアトリエにお邪魔するかのような気持ちで、いのくまさんの遊びのあるオブジェや、家具に会える。この空間にい
るだけで、ひろびろとした気持ちになるセラピー美術館。


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カフェとミュージアムグッズのクオリティが高くて楽しい。わたしの長年の部屋着は、ここの猪熊さん顔Tシャツ(笑)

 

◾️イサム・ノグチ庭園美術館  真剣に生きようと感じさせてくれる場所

作家の生きざまを感じられる美術館。使われていた道具のたたずまい、完璧に置かれた石たちに涙が出る。
(関連記事→もはや遺跡!圧倒的な優しさに抱かれる「イサムノグチ庭園美術館」次世代へインスピレーションの源泉場

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◾️河合寛次郎記念館   暮らしが仕事・仕事が暮らし

古い日用品を発掘し、その技術を復活させ、無名職人による「日用の美」を世の中に広め、さらに新しい日用品を制作し普及しようとした「民藝運動」に深く関わった陶工河井寛次郎。「いつも子どものように感動する心を失わなかった」彼の日々の暮らしを尊び、あらゆるものに喜びを見出しつつ物作りをされていた生き様を感じ取れる場所。

(関連記事→京都旅「河井寛次郎記念館」アトリエ空間の美「暮らしが仕事 仕事が暮らし」)

 


この窯をみてると、なんか力がわいてくる。

◾️島でまっさらになれる場所。

豊島美術館

      
豊島美術館にいくなら、豊島まるごとを味わってほしい。豊島は、香川県のちいさな島。

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自転車で、島を一周。ものすごい眺め。

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やっと辿り着く、豊島美術館。

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この美術館のしかけは、ひみつにしておきたい。行って、どんな場所か確かめてみて。いつもと違う次元、時間に連れて行ってもらえる空間。ひとしずく、ひとしずく。

◾️まとめ

どの美術館も、ひとりで行ってじっくり過ごすのが好き。時々、この人をここへ連れて行きたい、と思い当たった時は、誰かといくこともある。

美術館は、馴染みのない人にはいく機会が少ない場所かもしれない。けれど、もうひとつの居場所にもなり、帰ったあとは世界が少しだけ違うものに見える。気になるところがあったら、ぜひ行ってみて。

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