「IからUへ」Uターンの若者に帰ってきて欲しいなら「説得より町を楽しくすること」

作る側の視点

都会でも田舎でも地域の話をする時、こんな発言を聞くことがあります。

「この町は何にもない。ここに住んでも楽しいことなんてないからダメなんだ・・・(不平不満に続く)」

でもね、町にしろ、仕事にしろ、日常にしろ
「自分が楽しく作っていくものなんじゃないかな?」
とわたしは思うんです。

だって、自分の人生に責任を持てるのは、究極自分しかいませんから。 「あの人が〜と言ったから」「町がこうだったから」と言ったって、死ぬ時には誰も責任取ってくれず後悔しか残らないでしょう。

幸せは「してもらうもの」ではなく「自分で作るもの」じゃないかなあと、感じます。

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IからUへ

移住支援NPOれいほく田舎暮らしネットワークの事務局長をしている夫がよく言うのが、
「IからUへ」という発想です。(Uターンは、その地域で生まれ育った人が、また地域へ帰って来ること。Iターンは、別の地域で生まれ育った人が、全く違う地域に移住すること)

地域の人の気持ちとしては、 どうこう言っても、やっぱりIターンよりUターンの人に戻ってきてほしい。
そこから「まずUターンの人をどうにか戻ってくるようにできないか?
流出を抑えられないか」という議論がよく起こります。

その親心のような気持ちは、わたし自身、10年田舎で子育てしてみて、薄っすらとわかるような気がします。 やっぱり、小さい頃から見てきてる子供達はかわいいですもんね。

で、「じゃあ、産業をおこして仕事を作るところから・・・」という策が毎回上がるわけです。それはそれで大事なことでしょう。

でも、Uターンしない人の理由は 「仕事がないからそこに住めない」ということ以外にもあるように感じます。

例えば、
「田舎の閉塞感が耐えられない」
「その地域に楽しさを感じられないから戻ろうと思わない」
それを無理やり説得するのも難しいし、 その気持ちのまま戻ったところで不満がつのるでしょう。  

だから、まずは「この町が素敵だ」と思う移住者(Iターン)の人が
新しい視点を持って町に入る。
そして、今まで地域を作ってきた方々に敬意を払いながら、
町を再定義して、更新していく。

わたしの住んでいる高知県嶺北でも、新しいお店がオープンされ、田舎でありながら多様なライフスタイルが生み出されたり。 そんな様子をネットで見た地元出身者が、 「最近なんか、うちの町面白いんやってね~」と言いながら、都心での移住イベントに来てくれることもあるんですよ。

年に一度、地元に帰省した時に
「なんか最近この町、盛り上がって来てる。
いい店もいっぱいできて、楽しくなってる」
と感じて、戻ることを考えはじめる・・・ということも。

また、Iターンの方の中には、一定の確率で「自分で仕事を作る」という方もいらっしゃいます。もともと町にあった仕事に就くだけではなく、プラスαで仕事の受け皿も増えます。

それを見て、Uターンの方も「ああ、こんな仕事が自分も起こせるかも」「冷静に考えれば、自分の仕事は場所を問わずできるものだから、ライフスタイルのベースは田舎におこう」と思い、帰って来ることも。

だから、Uターンの若者に帰ってきてほしかったら、急がば回れで「IからUへ」の流れを作ること。そのほうが、スムーズなんじゃないかな。

なぜ視点が増えるのは良いことなのか?

そして、「なぜ、視点が増えるのは良いことなのか?」というと、
こういうことなんです。

慣れ親しみすぎて、視点が硬直化していると、
同じ物事、場所から感じられることが少なくなり、その場自体も衰退していく。
だから、たくさんの新しい視点を入れる。
細かいフィルターで、方向もいろいろ。右から、左から、上から、下から・・・・。

そうすると、同じ場所がもっと楽しく見えてきます。
そこで感じたものから、何かを生み出せる。
白黒で描かれていた町が、
100色で彩られた町に変わるイメージですね。

「町」という例で話しましたが、
これは同じ「自分の人生」というフィールドでも一緒です。

わたしたちは、一回の人生に対して、一つの体と一つの心しか持ってません。

だからこそ、学んで視点をたくさん持ち、
それを自分や人に生かすために表現する。

そのプロセスを身につければ、人生も100色に変わります。

さいごに

常に「与えられる側」でいる限り、
人生を自分のものとして動かすことはできません。だから、下手でもいいから持っているものを表現する努力をしてほしいんです。

地域にしても、家庭にしても、
人との関係でも、自分の人生も「作っていく」こと。

「ぽっちり」は、人生に能動的に関わっていく姿勢です。

それは、
「いつも受け取る側だったのが、つくる側に回れるようになる」
ということ。
人生の原液をつくる。
そこからバラエティ豊かな、おいしい料理が生まれます。

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