美しい曲を弾くための、見えないトレーニング
朝から、幼なじみのピアノの音。わたしは隣の部屋で講座の準備。東京から京都の大学へ授業にいく途中、幼なじみの家に宿泊中。彼女は個人レッスンをしながら、ピアニストとしての活動も続けています。
そうそう。さっき、面白い話を聞きました。
「難しい曲、すてきな曲を弾こうと思うと、いきなりでも弾けるんだけど、前提のトレーニングをしているかどうかで指の軽さが違う」とのこと。
ドミファソラソファミ・・・「ハノン」という練習教材の楽譜。わたしも小さいころよくやっていましたけど、楽しくなく超地味~な練習なんですよね(笑)
でも、しっかりしていると違う。
「親指は強いけれど、小指やくすり指は、力が弱い。練習すると、弱い指も強くなり、音の運びがスムーズになって、音がメロディーとして全体に奏でやすくなる」と。
彼女いわく「脳に印をつけていく感じ」らしいです。脳に正しい指の動きをインプットしてあげると、次の日、高度な曲を弾いた時に指がさ~っと軽く動く。
1冊の本も読めていなかったという事実
ああ、これ、なんでも同じだなあと思いました。
わたしはいま、哲学書の一節を読む、本の読み方のトレーニングを受けてます。一つ一つの語の定義を、明らかにするところから。そうすると、いままで1日でさらっと読めてた本の、たった10ページでさえ、ちゃんと読めてなかったことがわかるんですね。
どれだけ勝手に自分の文脈に偏って読んでいるかわかる。
著者の意図や指し示しているものとそれは、全く違うんです。
このトレーニングは、かなりきついです。脳を総動員して、振り絞って汗をかく感じ。むずむずして、いらいらして、はやく答えを出したくなるけれど、それじゃあ著者と違う意味付けをしてしまう。
本を大量に読むことが進められがちだけど、それ以前に一つの語でさえちゃんと読めてなければ、何冊読んだって意味がない。
これと一緒で人の話も、事象も、中立的にとらえる前に、すべて自分の都合のいいように偏った解釈をしていたんじゃないか・・・「どれだけいままで自分ができてないか?」ということにも、気がつく、ちょっとショックな時間でもあるんですね(笑)
なんでもかんでもインプットさえすればいいというわけでなく、いい質のアウトプットをするためには、インプットの質を上げること・・・正しく行っていくことの重要性に気がつきます。
ゾーンに入れる
でも、その苦しくて楽しい時間を過ごした後、仕事に取り掛かると、作業中、すぐにゾーンに入れることが増えてくる。
いままで5で「もうだめ、ここまで」と終わっていたところが10まで「もうちょっとやってみよう」となったり・・かなりしぶとくなってるんですね。
なんだか、ピアノと同じだなあと思いました。地味なトレーニングが、美しい曲や、美しい本や、すべてを支えるんだなって。
詩さえトレーニングで生み出せる
わたしたちは、「もう30代だから、50代だから・・・年齢によって自分はもうできない、これからやったって無駄だ、もうキャリア的にも遅い」と思いがち。でも、脳としては、いつまででも、力を増やすことはできるんですね。
例えば、今度ぽっちり舎で講座をしてもらう詩人のtotoさん。
映画挿入歌や歌詞、自身のアルバムでもすばらしい詩を出されています。
が、そんな彼女でさえ最初は「思いつかなかったし、かけなかった」そう。
しかも、彼女が音楽をはじめたのは子供ができてから。10年くらいかかって、今のようになったんですって。
彼女いわく「ことばという、道具のいらないおもちゃを手にいれたという感じ」だそう。
「センスと才能があの人にはあるから」で片付けるな
詩って、センスとか才能でかけそうじゃないですか。もちろんそれがあるに越したことはないし、日々への目線をいかに持てるか?という能力も大事。でも、それだけじゃない。
totoさんいわく、「日々のトレーニング・・・ことばのあつめかた、ことばの遊び方、ことばの作り方、舞台設定・・・そんな地味な積み重ねを通じて、育てていくもの」だそう。
今度の講座でもワークショップで学びますが、トレーニングを内包して場に立ったとき、この世に見えるかたちで、何かが生まれだしていくんですね。
つまり、「いくつになったから、才能がないから、家庭ができたから、こどもができたから」ではなく、その時点からやったかやらないか、その違いが、10年後の結果に出るということ。
すべてのアートも、仕事も、そうかもしれない・・・と思います。
まとめ
「いつからでも、力は培える」
それは、理由や逃げ場がなくなる直面したくない事実かもしれません。
でも、やっぱり希望なんですよね。
これをどう受け止めて、どうしていくか?は自分に任せられたこと。
今日の質問
あなたは、いまから何をトレーニングしたいですか?
totoさんの曲。
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