Q自分に非がないトラブルに仕事で遭遇してしまったときの心の守り方は？
フリーランスとして仕事をしています。仕事が順調に進むにつれて、やっかみや理不尽なクレーム、契約問題など自分には非がないトラブルにも遭遇するようになりました。法的な面など対処できることはしていますが、心のダメージも少なからず感じています。仕事をしていくうえで、必ず起こりうるこのようなトラブルに対して、自分の心を守るにはどのような方法がありますか。
A)
こういうのって、ありますよね。特に、自分の名前で仕事をしていると、どうしても矢面にたっていくことにはなります。「ええ、こんなことってあるんだ！」「世間にはいろんな人がいるんだなあ」という闇の部分も知りますし、「全員に好かれること、みんなにいい顔することはできないんだなあ」と思うことも増える。法的な対処はまず大事なことですが、こちらについては、されているとのことなので、自分の心を守るためには？について。
遭遇してしまった辛い経験を乗り越えていくためには、その経験を次のステージへの「きっかけにする」ことがポイントです。今日は、辛い経験を次のステージへの「きっかけ」にする5つのポイントをご紹介しようと思います。
1,違和感や不快さは自分を守るセンサー
違和感とか、不快さというのは、自分を守るセンサーです。心理的には自分と他人の境界線を侵されているとき・・・支配や依存など、心の安全を脅かされるようなことを人からされている時に鳴るんですね。例えば、
・言われたくないこと、されたくないことを、繰り返しする
・否定、揚げ足取りを頻繁にする
・マウンティングする
・失礼なことを平気で言う
・干渉してくる
・約束や礼儀を守らない
・自分の損得のために嘘をつく
・一緒にいるとエネルギーを奪われ、疲れる
・優劣関係、支配・非支配関係に持ち込もうとする
・同じ愚痴を何度も言うが、変えようとはしない
などです。
こういったことをされると、「ああ、いやだなあ」「はて？」という違和感、心の不快センサーが出す信号が鳴ります。気がついた時は、まずその原因となる人、対象と距離をとり、自分の心を安全な場所に置いてあげることが大切です。
そういう意味では、こういったセンサーが健全に起動してくれていることに、感謝なんですよね。我慢しすぎて麻痺していると、センサーも壊れてしまうことがあるので。
2,「相手の問題か、自分の問題か」しっかり分ける
そして、「これは、相手の問題か、自分の問題か」をしっかり分けること。
さっき出した例では、相手が、自分自身の問題が原因で、暴力的なものをぶつけて来ています。でも、優しくて優等生な人ほど、「自分が悪いのかな？」と思ってしまうこともあります。そういう人を相手はパッと見抜きますから、優しさに付け込んで、自分の問題をあなたに押し付けます。
心の問題や、仕事での責任など、いろいろありますが、相手が持っている問題はその人が主体になった時しか、解決できません。ですから、あなたが背負わないこと。サンドバックにならないことが大事なんですね。
これは、大きな目で見れば、自分だけでなく相手のためにもなります。
自分の人生は自分でしか抱えられません。
だから厳しいようで、相手の人生に対する尊重でもあります。
そういう人に遭遇してしまった時、とっても悲しいし悔しい。でも、これ以上つけ込まれないこと、危ない人から距離をとったり身を守る対策をとることは、できることです。被害者にならないことは、加害者を生み出さないことにもつながる、本当の優しさ。自分は自分の責任をとっていけばいいのです。
3,傷ついた自分を受け入れる
今回のように、自分には道義的責任がなく、危険な人によって事故った、というような時。「こういう時、傷ついて当たり前なんだ」ということをまずは認めてあげてください。「傷ついていいんだ」ってことを自分に許してあげてほしいんです。
しっかりした人、デキる人に多いのが、本当は傷ついているのに、「わたしは強いから傷つかない、これくらい平気」と、自分の心にオブラートをかけて蓋をしてしまうことがクセになっている、ということです。そうすると、後になって、抑圧した心の傷が原因となり、無意識的に、不適切で破壊的な行動を起こしたり、身体の症状に出ることがあります。放っておくと、仕事や家庭に影響も出ますし、自分や周りを傷つけることにつながってしまうんですね。
建設的に前に進みたいのなら、蓋をするより、その時々、傷ついたことを自覚して、こまめにケアしていくことが大事です。
どんな感情もまずしっかり味わって、受け止めて、共感してあげる。
辛かったよね～、残念だったよねって言ってあげる。
感情機能は創造性の源ですから、こうして、日々、感じきってケアしてあげることで、大人であってもみずみずしい創造性を保つことができます。
4,傷が深い時は、専門家に協力してもらおう
一方で、傷の深さによっては、トラウマ化したり、長期間苦しんだりして、一人で昇華することが難しいレベルの時もあります。その場合は、そういった対応に長けた心理カウンセラーの方にお話を聞いてもらい、早めにケアすることをおすすめします。
「自分で仕事をする」ということは自分が資本。自分を大切にすることも、とても大事な仕事です。法的なことだけではなく、自分の心をしっかり守ること。ケアする手間やお金をかけることは、持続的に質高く仕事をするための投資になります。
実際、その人らしい魅力を持って健全に活動されている方を観察していると、活動を広げる「攻め」も精力的ですが、一方で、健全に活動を続けるための「守り」も大切にされています。すてきな企業トップの方とお話ししていると、人としての器も大きい。そういった自己投資が、結果的に、持続的な自己成長にも、企業の成長にもつながっておられるのだなと感じます。
5,この経験から何が活かせる？何を学べる？を考える
気持ちが落ち着いてきたら、「この経験から、何が活かせるだろう？」「こんなに辛いってことは、何が自分にとって大事なんだろう？」と、自分に質問してみましょう。これが、経験を次のステージへの”きっかけにする”橋渡しになります。
例えば、この経験をきっかけに、
・人を見極める目が、より一層持てるようになった。
・早く危険が察知でき、トラブルに遭遇する前に対処できるようになった。遭遇しても、早い段階で対策が打てるようになった。
・心に踏み込まれ、自尊心を傷つけられることがこんなに辛いことなんだとわかったからこそ、自分は、他者との心の境界を意識し、尊重するようになった。
・辛い経験を通して気づいた「大切にしたい価値観」を仕事にも活かせるようになった。
・「自分は誰と付き合い、誰と仕事をしていきたいのか？」「誰に大切なことを届けたいのか？」ということを、改めて明確にするきっかけにできた。これらを打ち出していくことによって、仕事の効果・効率も上がり、顧客にとっても自分にとっても、より満足度の高い仕事ができるようになった。
このように昇華していくと、自分の財産になる形で、乗り越えていけますよね。
さいごに。５つのポイントまとめ
辛い経験を次のステージへのきっかけにするためには
1,違和感や不快さは自分を守るセンサーを、大切にする。
2．相手の問題か、自分の問題か」しっかり分ける
3,傷ついた自分を受け入れる
4,傷が深い時は、専門家に協力してもらおう
5,この経験から何が活かせる？何を学べる？を考え、あなたの財産にする
「あの時辛かったけど、次へのきっかけにすることができたなあ、わたし・・・」と後から思えれば、勝ち。
自分の名前で仕事をしていくときには、良いこと、辛いこと、どちらもあります。その中で諦めずに、よりよい人生を作っていく人が、わたしは好きです。
これからも応援しています！
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