不動産ではない空き屋の直接交渉。
大家さんとの接し方で大切にするべき姿勢とは・・・
移住希望者が増える中、
田舎には不動産家さんがないことも多い。
その場合考えられる方法は、
・直接空き屋を探して大家さんと交渉する
・移住相談員や役場の空き屋担当の方、もしくはその地域の顔役さんに間に入ってもらって交渉する
その際に大切なのが相手への接し方、姿勢。
夫が事務局長をしている移住支援NPOれいほく田舎暮らしネットワーク
を8年間見てきて感じること。
接し方が都会的すぎて田舎の人には響かず、
交渉がボツに終わることが多々あるんです。
自分にも相手にも、信頼を持って気持ちよく事が運ぶよう、
田舎の空き屋を借りる際に大切な姿勢ポイントをまとめました。
1、礼儀
あいさつ、会話、笑顔などの基本的なコミュニケーションは大事。
2、自分の個人情報は自分から明らかにする
移住相談に乗ってくれている人や間に入ってくれる人、
大家さんは個人情報を明らかにして接してくれていることが多いです。
そんな中で相談に乗ってもらう自分だけは出さない、という姿勢はNG。
都会では個人情報をなるべく漏らさない方が安全とされていますが、田舎では逆。
なるべく自分から出してしまった方が信頼関係が結びやすく、
変な噂や誤解のリスクも少なくなるというのが実感。
名前、身元、仕事、家族、連絡先、移住したい動機などを相手に伝えましょう。
ボランティアの場合もあり、地域へのリスクや責任、時間も割いて接してくれていることを忘れずに。
自分を開示した上で、責任を持って接する姿勢でのぞみましょう。
3、空き家=相手にとって「大切なもの」をお借りするという謙虚な気持ちで。
田舎の空き家というのは、家代々の歴史や思い出、愛着がつまった家。
そもそも家を貸すという風習もなく、本来なら身近な人に引き継ぎたいと思っているもの。
そんな思い入れのあるものに対して、
「ただの物件を、空いてるなら貸してよ」と言われたとしたらどうでしょう?
土足で踏み込まれたような気持ちになるかもしれません。
たとえ社会的な意義をいくら説明したとしても、
相手の気持ちに寄り添わなければ乱暴に聞こえてしまうことも。
「大切な愛着のあるものに触れさせてもらう」という感覚を持って接すること。
そこにつまっている相手の思いやお話を、寄り添いながらお聞きし、
「できればその大切なものをお貸しいただくことはできないでしょうか?」
という丁寧な姿勢でのぞみましょう。
4、田舎の空き家は、都会においての「不動産」と思うな。
田舎の家は、そもそも誰かに貸す、という目的で建てられていません。
都会のように「不動産」という感覚はないんです。
だから、単純に条件が合うことだけではなく、
入りたい人の人柄や信頼が良くてはじめて、大家さんもお話をきいてくれます。
また「住んでみて合わなかったら返すんで~」というような軽いノリは嫌われます。
「お宅の娘さんと結婚させてください。一生幸せにします」というくらいの思いで接しましょう。
5、大家さんには貸すことのメリットがあまりないことを自覚する。
家を貸す、というと一見家賃のメリットがありそうに感じますよね。
ですが、実際は田舎の空き屋の家賃は低いです。
(地域にもよりますが、一つの目安でいうと高知の田舎では1~3万くらいが目安)
そのため経済的なメリットは少ないんですね。
それでも大家さんが貸してくれる理由には、
・将来的に朽ち果てる家への対策
・社会的な意義を重んじて
この二つがあります。
地域や移住者に協力するという気持ちから、ということも多いため、
その気持ちに感謝しながら接しましょう。
6、大家さんや間に入る人は、
リスクを持って接してくれている。
田舎では、空き屋に移住した人の評判=大家さんの評判につながります。
もし、空き屋を貸した相手が、地域への態度が悪かったり、
集落の行事に最低限も参加しなかったり、
仕事も暮らしもちゃんとしていなかったりすると、
当事者だけではなく、大家さんの評判も悪くなっちゃうんですね。
大家さんや、中に入ってつなげてくれている人は、
そんな地域へのリスクも持った上で、
地域貢献の意味もあって相談にのってくれていることもあります。
そのことへの配慮や感謝を持って接することが大事です。
また、地域や集落によって周りとのお付き合いや行事ごとの多さは違います。
物件情報だけで見ず、そんな関わりを自分ができるかどうか?も見極めて選びましょう。
移住して地域に入った時にも、大家さんの
リスクを増やさないように配慮しつつ。
責任を持って暮らす覚悟を持ちましょう。
7、契約ははっきりとする
田舎の人は利害関係がある人同士の直接的な話し合いが苦手。間に移住相談員もしくは地域の区長さん、地域の世話人、顔役の人に入ってもらい、
協力してもらうことが大事。
その際、入ってもらった人への感謝やお礼のひと言を忘れずに。
8、移住してからも関係性を大切に。
移住者と地元者の異文化理解は信頼関係がベース
都会で生まれ育った人が田舎で暮らすということは異文化です。
移住後、そんなつもりがなくても誤解や行き違い、というのは何かしらおこるもの。
だからこそ、初めてお会いした段階から「お互いに話し合える」「信頼関係を持つ」
ということが大事。
地域との間、大家さんとの間で何かトラブルが起こったときにも、
その関係性がしっかりしていると、乗り越えていけることが多いです。
~まとめ~
田舎で空き屋を貸してくれるのは、
「条件」によってではなく「借りる人の人柄」によって。
地域に移住者が入り、誠実な態度で周りの方との信頼関係を紡いでいけると、地域にいい評判が立ちます。
近年、うちの地域でも実際に移住した人たちに良い人が多く、
地域の人が「移住者もいい人が多いのう」と判断し
移住支援の空き家担当に「うちのも貸してもいい」と連絡をくれることが増えつつあります。
受け入れに慣れていない田舎では、まず良い事例や移住者への信頼を作ることが大事。
あなたの行動が次の移住者のための良い事例になるように・・・
もともと新参者を受け入れる慣習がない田舎で、受け入れ体制が整ってきているのは、あなた以前のIUターン者、地元の方が協力してそのベースを作ってきたから。
あなたの行動が、新たにいい事例となれば、次の移住者や未来の地域の発展につながります。
そんな意識で心のこもった交渉をしてみてはいかがでしょう?
貸し手にとっても借り手にとっても、地域にとっても素敵な未来を紡いでいけますように。
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■私、ヒビノケイコについて。
高知県の山奥で暮らしながら作家活動をしています。
こちらは新刊のエッセイ漫画。
20年間空き家だった古民家暮らしのことも描いてます♪
■夫が事務局長をしている移住支援NPOれいほく田舎暮らしネットワーク
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