弱った心のおかゆは、伝説のドラマ「すいか」。木皿泉さんの脚本

 

実はここ3日、久しぶりに熱を出してダウン中(p_q*)身体とリンクして心まで弱ってきます。こんなとき、ふとみたくなるのが12年前の伝説のドラマ「すいか」。TVはほとんど見ないのに、一年に2~3度は見返すという、我が家でヒットし続けているドラマです。決して派手ではないし、劇的な感動!とかはないんですが、見終わったあとしみじみと染み渡ってくる、心の「おかゆ」のような存在です。
 

小林聡美
バップ
2003-12-21

 

このドラマは私が大好きな脚本家の木皿泉さん作。視聴率はそれほどふるわなかったものの、評価が高く第41回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞、第21回ATP賞テレビ記者賞、第22回向田邦子賞(木皿泉)を受賞。12年たった今も熱烈なファンを持つドラマなんです。舞台は世田谷区三軒茶屋。レトロな下宿屋での生活の雰囲気がすごく良くて、やみつきになります。
すいか
出典http://whitekey.co.jp/blog/staff/20

■「すいか」のストーリー

早川基子(小林聡美)は信用金庫に勤めるOL。34歳になった今でも結婚もせず、親離れも出来ずに平凡な日々を送っていた。そんなある日、数少ない同期であった馬場ちゃん(小泉今日子)が3億円を横領していたことが発覚し、逃走したことから物語は展開する。逃走を続ける中、日常の何気ない幸せに気付く馬場ちゃん。一方、「ハピネス三茶」という下宿屋で、エロ漫画家(ともさかりえ)や大学教授(浅丘ルリ子)、大家の女子大生(市川実日子)などの同居人との交流を通して変化していく基子を対照的に描いている。出典http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%99%E3%81%84%E3%81%8B_(%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E)

登場人物が全員好きな俳優さんなことと、12年たってもやはりファッションセンス、空間のセンスがすてきだと思えます。特に、漫画家のきずなちゃんのヘンな感性にはシンパシーを感じてしまいます。小泉今日子さんの、くたっとした汚れ役の存在感もすごい。市川実日子さんはサバサバしてかわいく、教授役の浅丘ルリ子さんは厳しくも優しく、お茶目ですてき。自分を道標にした生き方から来る言葉は、人生に迷ったとき導いてくれます。

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この本の中には、その後のストーリーがおまけで入ってるそう↑

今朝見たエピソード2の中での名言がいくつかあったのでご紹介。

■教授(浅丘ルリ子)が失恋した男の子に「安心して忘れなさい。私が覚えておいてあげるから」というシーン。誰もが忘れたくても忘れられないことを持っている中で「安心して忘れる」ってすごくいい言葉だなとしみました。

■この回では、主人公の基子が過保護な母親とのケンカから家を飛び出しハピネス三茶で暮らし始めます。< br />
基子(小林聡美)「私、34歳までにしておかなければならないことを何一つやってこなかった気がします」

教授(浅丘ルリ子)「人間には年齢なんてないのよ。エディプス期を通過したものと、そうでないものがいるだけなんです。」「あなたは今日、エディプス期を通過するための一歩を踏み出しました。違いますか?」

基子(小林聡美)「それって、親離れってことですか?」

教授(浅丘ルリ子)「とりあえず、おめでとう」
そうやって二人で大きなケーキを切り分けて食べるシーンが好き。このようにすいかには毎回、心に残る言葉があります。「34歳はまだまだ」と思っていた12年前の放送から、もうすぐ34歳に近付いてきた自分自身も重ねてしまいます。「嫌なのに似てる」そんな親から独立し、自分自身を確立しようとしていく基子の変化が面白い。人生って地味で、いいことも悪いことも全て含んでるけど、淡々と生きることの味わいを感じさせてくれます。
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木皿泉さんは夫婦ユニットで、女性の方は私と出身大学が同じ、先輩なようです。いつかお会いしてみたい、というのが夢です。この本は小説ですが、第11回本屋大賞2位、山本周五郎賞にもノミネートされてましたよ。ということで、夏も近付いてきたことだしぜひ今一度「すいか」を見てみて下さいね^^